小説紹介「大進化どうぶつデスゲーム」草野原々
平成最後の人類には早すぎた大怪作「大進化どうぶつデスゲーム」
デビュー作の短編「最後にして最初のアイドル」でハヤカワSFコンテスト特別賞、第48回星雲賞日本短編部門、第16回センス・オブ・ワンダー賞《未来にはばたけアイドル》(羽ばたくどころではない矢澤)、短編「暗黒声優」で第50回星雲賞日本短編部門、第27回暗黒星雲賞ゲスト部門を受賞している新進気鋭のSF作家、ワイドスクリーン百合バロックプロレタリアートアイドルハードSF作家、「星野原々」。宇宙災害のような才能を携えもはや人類には早すぎる(褒め言葉)初の長篇、それが「大進化どうぶつデスゲーム」だ。
これは凄まじい濃度の百合で煮込んだ怪文書。
STRONG ZEROならぬSTRONG YURI
これは安易に摂取してはいけない。取り扱いに注意が必要な劇物だ。過剰な摂取をすると急性百合中毒を起こしショック症状に陥る危険性がある。
StrongYuriについてはこちらの記事をご覧ください
まず最初に一つだけ注意をしておく。草野原々の作品は作風から何から強烈でとてつもなく癖が強い。とても人を選ぶ作家であり作品だろう。
なので最初の一冊にこの本を選ぶのはおすすめしない。最初の一冊を読むのであれば他の記事で紹介している「アステリズムに花束を」に収録されている「幽世知能」か草野原々による短編集の「最後にして最初のアイドル」から手を出すのがおすすめだ。
この作品は女学院に通う女子高生が突然謎のピンクの光に包まれQBのような自称シンギュラリティAI「シグナ・リア」に君たちが知性ネコとお互いの生存権をかけた戦いをし相手を絶滅させなければ人類は滅ぶと告げられる。なお開幕教師はネコの玩具にされた鼠のようになる。
この時点で既に胡乱だ。胡散臭さが極まっている。知性ネコってなんだ？巨大ネコが教室の扉を開けて教室に侵入してくるんだが？理解不能である。理解する必要はない。床下からフロイトが出てくる作品を理解する必要があるか……いや、ない。そういうことだ。細かいことは気にするな。
次にこの作品の登場人物(Aクラス18人)はだいたい誰かしらに恋愛感情を抱いている。登場人物は本の最初に全員顔つきで出席簿として纏められている上につるんでいるグループまで相関図として記載されている。
へんたいへんしゅうさんがたいへん優秀です。読者に優しい。
百合の宝物庫かよ。
なんだかんだあって彼女らは知性ネコの起源が存在する時代まで精神のみを飛ばされることになる。細かい理屈は不要だ。百合でバトルファイト。それだけを理解すればいい。ちなみに彼女らはシグナ・リアによって身体能力を超強化されている。
ちなみに主人公っぽいのは裏ピの空魚チックである。
そこには氷河期の古代生物が跋扈している。つまり狩りの時間だ。文明の利器はだいたいシグナ・リアが用意してくれる。便利だなお前。
彼女らは狩りやら食料採取やらで命の危機を感じたり動物をその手で食肉に加工するという感情を揺さぶられるイベントに遭遇する。それもクラス内のカーストがゴチャ混ぜになってだ。
憧れてたあの子と一緒に……あれしたりこれしたりする……とても濃い百合……
唐突に始まる別の人が好きな同性愛者同士の同性愛者COによる唐突な友情……百合はまだガンには効かないがそのうち効くようになる。
陰キャと陽キャの百合、お嬢様と親友の百合、クソ根暗の百合と中二病ロル娘の百合、いたる所百合だらけだぁ！ここは百合パーティーの会場かな！？たのしいなぁ！大きな百合が点いたり消えたりしている。あはは、大きい、百合かな…… いや、百合はもっとぱぁーって輝くもんな。
わたしはしょうきにもどった
何にしてもこの作品は強烈な作品だった。最初から最後まで徹底的に強烈な作品に仕上がっている。
刺激的な作品が読みたいのであればこの作品はまさにぴったりだろう。
それからこの作品時代背景と太古の生物についてよく描かれている。生態系やら環境、歴史について大変調べこんだんだろうなぁ……
何はともあれこの作品には続編が既に刊行されている。
「大絶滅恐竜タイムウォーズ」だ
こちらの作品ではこの作品で描かれなかった真実とやらが描かれているらしい。
既に作品は購入してある。今から読むのが楽しみだ。
でも怪文書を読むのには精神力が必要だからしばらく間を開けて配達業に勤しもうと思う。→読んで記事にしました。
PS.この記事が作者のご拝謁に預かりました。ありがとうございます。
私もどういう反応をしたらいいかわかりません
