映画感想・レビュー「X-MEN:ダーク・フェニックス」
X-MEN:ダークフェニックスとは
2000年から続く20世紀FOX制作のX-MENシリーズの最終となる作品です。
X-MENシリーズには大きく分けて3つの作品ラインがあります。
1つ目は初期1・2・ファイナルディシジョンの旧三部作、2つ目はウルヴァリンを主人公とした「ZERO」「SAMURAI」「LOGAN」のウルヴァリン三部作、そして最後の3つ目は「ファースト・ジェネレーション」「フューチャー&パスト」「アポカリプス」「ダーク・フェニックス」の新四部作だ。
関連作としてはデッドプールや公開予定のニュー・ミュータンツもあるがこれらの作品は外伝というか単独作品なので今回は考えなくてもいい。
シリーズとしてはダーク・フェニックスを最後に、単独作品としてはニュー・ミュータンツを最後に20世紀FOXからMARVELに権利が戻ったためアベンジャーズ、つまりMCUシリーズに再編されることになるだろう。
「ファースト・ジェネレーション」から始まった新四部作は旧三部作の流れとは異なり「フューチャー&パスト」によって起きたある事件をきっかけに時間軸を改変し派生していく物語だ。その物語の最終章に当たるのが今回の記事の「ダーク・フェニックス」だ。
旧三部作のヴィランであったマグニートーやミスティークと強力する展開もあり旧三部作と比較すると面白いだろう。
ダークフェニックスのあらすじ
ダークフェニックスはある程度X-MEN作品に触れていれば見て理解することはできるかもしれませんがあくまでも新四部作の最終章なのでまずは先の3作品や旧三部作に触れることをおすすめします。
ダークフェニックスの物語は「アポカリプス」のラストから10年後、1992年が舞台となります。
「フューチャー&パスト」と「アポカリプス」を経て世間から認知され公式に認められた進化し特殊能力を得た人類であるミュータント、そしてプロフェッサーの作った「学園」はアヴェンジャーズのようにヒーローとして活躍するようになっています。
そして世間ではスペースシャトルの「エンデバー号」の打ち上げが物語の最初に打ち上げられます。エンデバー号の打ち上げ中に太陽フレアによる事故が発生し、X-MENは宇宙への救出ミッションを行います。
救出ミッションには成功したものの今回のメインキャストである「ジーン」が大量の太陽フレアを浴びてしまい裡に秘めていた「ダークフェニックス」が覚醒していくことになります。
X-MENは覚醒ダークフェニックスとどう向き合っていくのかというのが本作になります。
主要な登場人物
ジーン・グレイ=ダーク・フェニックス
今作の主要人物。能力はテレパシーとサイコキネシス。
幼い時に能力の暴走を起こしプロフェッサーに引き取られ学園で育てられる。現在は学園の子供に力の使い方を教えたりX-MENの任務についていたりする。
旧三部作同様類まれなる能力の出力を持つ。
今作では宇宙飛行士救出任務に赴いた際太陽フレアを吸収したことにより能力が覚醒し今作の事件の引き金となる。
プロフェッサー
能力者達と人類の共存を目指し能力者達が正しく社会で生きていくための学園の創始者でジーンの能力の一部を封印し今回の騒動のきっかけとなった人物。彼の行動は基本的に善意で行われているがそれが今回は大きく裏目に出てしまう。
彼の指針はミュータントと人類の共存。
能力はテレパシー。学園の地下にある増強装置を用いることで能力を全世界規模に覚醒することができる。ダーク・フェニックスを除けば最も強いテレパシー能力者。
マグニートー
X-MENシリーズでは基本的にヴィラン。四部作では割と協調路線。三部作とは異なり渋いイケメン。
彼の指針はミュータントによる世界の支配だったが今作では隠居中。クイックシルバーは息子。
能力は金属操作。体内の中の鉄分からその辺の車、鉄筋、銃まで鉄が材料に含まれていればどんなものでも操作可能。操作といっても動かしたりするレベルではなくテレキネシスのように空中に浮かせて相手にぶつけたり銃を全て取り上げて持ち主に向け引き金を引いたりと万能にして強力。
被っている鉄製のヘルメットはプロフェッサーのテレパシーに対抗するための装備。
能力バトルものはやはり戦闘シーンが派手でいい。プロフェッサーとマグニートーによるジーンの争奪戦は過去に敵味方だった陣営がばらばらにシャッフルされた戦闘で今まで闘いになるはずのキャラ同士の戦闘で非常に見どころがある。
マグニートーのゲート・オブ・バビロンや無限の剣製、ノッブの三段撃ちのような大量の銃の同時射撃はクールだ。
LOGANを見てからこうしてプロフェッサーが作中で活躍しているところを見ると非常にクるものがあった。あの最後を見てからこうしてジーンのために身体を張っているプロフェッサーを見ると根本的に善人なんだなって感じた。
いままでほとんど敵なしレベルの戦闘力を誇ったマグニートーですらダーク・フェニックスが圧倒的な力でマグニートーを薙ぎ払っているのを見るとファイナル・ディシジョンでのジーンもやばかったけどやっぱりダーク・フェニックスってやばいんだなって実感する。アポカリプスでもその片鱗は見せていたけど本当に圧倒される。
マグニートーやストーム、クイックシルバーの能力はとても優れていて作中でも屈指の強さを誇るけど今回のジーンの能力はシンプルなサイコキネシスのはずなのにとてつもない出力で化け物地味た強さを誇っていた。普通のミュータントが拳銃、強いミュータントがアサルトライフルだとしたら今回の彼女は戦車だ。まるで能力の出力が桁違いだ。
テレキネシスは物を動かすだけ、ただの念動力と書くとシンプルだが汎用性の高い能力に見えるがジーンのそれは違う。能力が及ぶ範囲にさえ居れば対象を粉微塵に変えることが出来るほどの出力がある。
たしかにX-MENシリーズ最強という触れ込みも間違いないのだろう。
ファイナル・ディシジョン、フューチャー&パストとミュータントが迫害されるのを見てきて結局こういった迫害されるような展開になるのは見てて非常に辛いものがあった。ミュータントだって人だ。室伏やボルトのように超人的な肉体を持つ人、ジョブズやビル・ゲイツ、ザッカーバーグのような天才と本質的には変わらない。
火や氷を操れたりサイコキネシスが使えるだけ、少し変わった能力があるだけなんだ。思えばタイバニでもこういうような差別、あったよね……
それはそれとしてこのオチはどうかと思う。それに結局あのヴィラン達はなんだったのか、ジーンはどうなってしまったのか、ミュータントの問題はどうなったのか、その辺りの問題の描写が結局全然なくてパッとしない。ただプロフェッサーとマグニートーが和解できた、それ一点に関しては大変良かった。何しろ1作目からほとんど敵対しあってきた元親友同士なのだから……