色のない緑色の考えは曖昧に記述する

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本・ゲーム・映画等感想レビュー及び雑記

映画感想ネタバレなし「The Batman」復讐者が世界最高の探偵になる物語

3/10、公開日の3/11に先駆けて先行放映で「The Batman」を試聴した。ダークナイトライジングからおよそ10年ぶりとなるバットマンの実写映画にして他のDCEUなどの連続作品とは独立した単独作品だ。

ダークナイトトリロジーではバットマンのオリジンから着地点までを三部作として、文字通り闇の騎士として描いた。そのためアクション要素が多くヒーロー映画然としておりクリストファー・ノーランらしい考えさせられるような構成だった。
対して今作の「The Batman」は「世界最高の探偵」にバットマンが成長していく物語、もしくは、活動2年目で復讐者であったバットマンバットマンとしてのアイデンティティを固めていく物語だ。SE7ENのようなスリラー要素やピカレスク要素が強く今までのティム・バートンからクリストファー・ノーランの作ったヒーローとしてのバットマンとは異なった趣の作品となっている。もちろんアクションやカーチェイスは見る価値が十分にある。期待してほしい。
この作品ではバットマンは活動2年目で色々な面で未熟で、そして暴力的だ。必要とあらば殺人すら厭わないような存在だ。今作でバットマンを演じている「ロバート・パティンソン」は正義に対して潔癖なブルース・ウェインとしての配役としては相応しく、配役が発表されてから批判されていたような心配は微塵も感じられなかった。むしろ活動2年目かつ潔癖な復讐者は彼の配役が最適だったとすら言えるだろう。その端麗な容姿に病的な顔色は今までバットマンを演じてきた役者さんたちにはできなかった表現だった。配役を非難していた方は劇場で確認してからその是非を判断してほしい。

リドラーの解釈もまた面白かった。彼については何を語っても割とネタバレになってしまうので多くは語ることができないが今までのエドワード・ニグマではない。現代ならではのSNSを巧みに利用し悪辣な手段を用いるSAWのジグソウのようなヴィランとなっていた。ゲームのアーカム三部作をプレイしている方ならご存知の通り大変苛つくやつなのでその辺は安心してほしい。
ペンギンも出てくるが今回は端役なので割愛。ペンギンのスピンオフドラマもHBO MAXで製作されるらしい。そちらに期待したい。

映画「joker」とは関連がないらしいがゴッサムシティの腐敗具合はなかなかに酷い。ダークナイトなんて目じゃない酷さだった。R18作品になっていてもおかしくないのだろうなという世界観に暴力だ。個人的には映画としては総じて完成度が高く100点中90点くらいには評価したい。
次回作の企画も存在するのでそちらにも期待したい。次のヴィランが誰になるのかとても楽しみだ