色のない緑色の考えは曖昧に記述する

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本・ゲーム・映画等感想レビュー及び雑記

ゲーム感想・レビュー「デス・ストランディング」点と点を繋ぎ世界を繋げ

メタルギアソリッドシリーズの小島秀夫コナミから独立し、自身のスタジオを作り制作したゲーム一作目。それが今回の記事の「デス・ストランディングです。

作品としては単純でこれだけを書くとつまらなさそうなのですが、ゲームをよくやる人はあまり好まないであろう「お使い」、これを究極までに進化させた作品がデス・ストランディングになります。

貴方は主人公のノーマン・リーダス演じるサム・ポーター・ブリッジズとなりこの究極の配送を行い「デス・ストランディング」によって分断された北米を再び繋ぎ直すことが目的です。

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また「ノーマン・リーダス」以外にも多くの名作を世に送り出してきた映画監督の「ギルレモ・デル・トロ」や北欧の至宝とまで謳われた俳優「マッツ・ミケルセン」など多くの俳優をモデリングしたキャラクターが登場します。吹き替えも同じく豪華な声優陣によって作中を彩られています。

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やることとしては「荷物の配送を受注」→「配送」→「シナリオの進行」or「荷物の配送を受注」ひたすらこの繰り返しです。
これだけを書くとやる価値の無いゲームのように思えるでしょうがそうではありません。小島秀夫による秀逸な世界観にストーリーテリングサンドボックス非同期オンライン要素など様々な付随要素を組み合わせることで今までの「お使い」をいまだかつて無いものにまで昇華させています。

かつてゲームの中でアイテムは所持に上限はあれどただのデータで物理的な制約の無いものでした。
データ的には可能でも物理的に考えると不可能ないくつもの武器や防具を持ったり、データとして倉庫や商人とやり取りできます。
ただし「デス・ストランディング」では違います。
一つ一つのアイテムに重さや大きさに強度が存在し、背負うことが出来る重さ、量が物理的な制限としてのしかかってきます。
それは時にはサムのバランスを崩し足元をおぼつかせ転ばせます。転んだ場合には荷物は地面にちらばり損傷します。勿論損傷が酷くなれば配送依頼は失敗しやり直しとなります。それがメインストーリーの依頼だった場合最悪ゲームオーバーにも。

サムの配送の障害となる要素はそれだけではありません。デス・ストランディングによって世界は荒廃しているためまともな道はなく、荒野や山岳地帯、雪道を進むことになります。足場が悪ければ悪いほどサムは転びやすくなり、斜度が大きくなればなるほどそこから滑り落ちやすく、よりよろけやすくなる。様々な状況がサムの配送を不利にします。

極めつけは触れたモノの時間を急速に進めさせる時雨(ときう)とBTと呼ばれるクリーチャーです。
時雨の降っている状態で荷物の配送を進めると荷物を梱包している保護ケースの衝撃吸収能力が急速に低下していきます。衝撃吸収能力が無くなった状態でケースを落とすと内容物が破損していきます。
そして時雨が降っている状態ではBTが出現します。このBTには段階があり時雨状態で邂逅した状態では空中を幽霊のように漂い音に反応し主人公を見つけると地面からタールのようなものが主人公の周りに湧き上がりゾンビのような姿で主人公を捕獲しようとしてきます。
捕獲されると最終段階、強制的に移動させられ中型BTとの積極的な戦闘になります。

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ただし最初から対抗手段があるわけではありません。シナリオが進むまではこの状態になった次点で積みです。初期の段階では出来る限り慎重に行動し、BTを回避することが肝要になります。

ただしサムを有利にする要素もたくさんあります。一番簡単なところだと乗り物、バイクやトラック。
そしてサンドボックス要素と非同期オンライン要素になります。
サムの道中に周囲の探索装置を設置する、梯子をかける、ロープを設置する、橋をかけるなどのショートカットの作成です。
この作成物が非同期オンライン要素になり他のプレイヤーが設置したものが貴方のプレイしている世界に現れたり、逆に貴方が設置した建設物が他のプレイヤーの手助けとなることもあります。
他のプレイヤーの手助けになれば貴方は「いいね」を獲得することができます。いいねをより多く獲得することでサムのステータスが成長していきます。
多くのSome oneが貴方を助け、貴方がSome oneとなることで他のサムを助けることになるのです。

そして配送それ自体に物語が練り込まれています。街から離れたプレッパー達はそれぞれの物語を持っています。あるプレッパーは生き別れになった妻を探していたり、そしてあるプレッパーは夫婦で出産が間近で別のシェルターに居る医者からの荷物を求めていたりとウィッチャーやアサクリオデッセイのサブクエのように配送そのものに物語があるのです。

目に見えない部分でもプレッパーは、シェルターの住人は生きていてその物語を一つ一つ紡いでいくと考えると、とても素敵でロマンがあると思いませんか?

この作品は様々な要素が稀有なバランスで組み合わさりできでいる作品です。
序盤には映画的なカットシーンが多くプレイヤーが自由に活動できるようになるまで、もしくは多くの選択肢が取れるようになるまで時間がかかります。
また、大胆なアクションがあるわけでもなく爽快な戦闘もないので人を選ぶ作品です。

ただしゲームの歴史を大きく変える作品かつ小島秀夫にしか成し遂げることのできなかった作品です。徐々に成長していくサムを通して出来る体験は多くこの作品だからこそできる経験がたくさんあるはずです。SFや新しいジャンルのゲーム、小島秀夫監督の作品が好きな方は是非とも遊んでみてください。

【PS4】DEATH STRANDING

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