未見向け紹介：PSYCHO-PASSを見て色相を浄化しよう
ブレードランナーやニューロマンサーのような疾走感のあるSFの刑事ドラマ作品のアニメが攻殻機動隊以降にあっただろうか？私はそういった作品を知らない。
いい線を行っているところであると「TIGER & BUNNY」と答える人も居るだろうがあちらはどちらかというとコミカルでアクションよりの作品で方向性が違う。かつてカルト的人気を誇った「Serial experiments lain」、その世界観で多くのSFファンを魅了した「攻殻機動隊」、それらのSF作品の流れを汲むのがこの作品PSYCHO-PASSである。
SFに興味がなかったり刑事ドラマに興味がないという人も安心して見てもらいたいし一話から引き込まれるはずだ。
まずは大人のお姉さん達はこちらの画像を見てもらいたい
きっと見覚えのあるキャラデザだろう。そう「家庭教師ヒットマンREBORN!」で知られる天野明さんだ。
もはやこれだけで説明はいらないだろう。そして主人公の執行官で刑事ある「狡噛慎也（cv.関智一）」と敵である「槙島聖護（cv.櫻井孝宏）」、彼らは最早運命とさえ言える因縁で繋がっている。彼らは誰よりも互いのことを深く理解し相手のことを見つめている。
作品の説明の前に一つだけ言っておかなければいけないことがある。
【この作品のストーリー原案は虚淵玄である】
そう、虚淵作品なんだ。その辺りで察してもらいたいところで作品の説明に入る。
2112年、厚生省の有する包括的生涯福祉システム「シビュラシステム」により社会のすべてが管理され人々はシビュラシステムの適性診断により自分に向いた職業、相性診断により完全な相性の恋人すらマッチングが可能になった。
シビュラシステムによって得られた恩恵はそれだけではない。人間の魂を分析したとでも言える魂の数値化「PSYCHO-PASS」の実装、そしてPSYCHO-PASSの解析によってその人物が犯罪者になる可能性・犯罪を犯す可能性を数値化した「犯罪係数」だ。
犯罪係数が一定を超えた場合例え罪を犯していなくとも、例え何もしていなくとも潜在犯と呼ばれ治療という目的で隔離、及び治療を受けることになる（隔離施設から犯罪係数を改善し出所した例は実質的に無いが）
無論そのような社会であるため人々は犯罪係数の悪化を忌避し一定数を超えていなくとも数値が高いというだけで排斥されたりもする。
潜在犯として隔離された人物は終わることのない治療を永遠に続けることになるだろう。ただし潜在犯に許されたただ一つの社会奉仕活動であり職業が一つある。
「執行官」だ。執行官は潜在犯を狩る潜在犯として警察業務を行う。主人公の「狡噛慎也」もその一人だ。
犯罪係数の実装により犯罪の数は激減した。それでも誰かを憎んだり騙したり傷つけたりしたりする輩がわんさかいる。そういった潜在犯を狩る国家の猟犬だ。
無論執行官も潜在犯であることには変わらない。だからその猟犬を調教したり監視する役目の職業も存在する。「監視官」である。
執行官と監視官だけに許された正義を執行するための力がある。ドミネーターという黒い銃だ。
対象に向けるだけで対象のPSYCHO-PASSを即座に解析し犯罪係数を割り出す暴力装置。犯罪係数が既定値を超えている場合は致死性の無いパラライザーが、300を超えている場合は銃身が展開し致死性のエリミネーター、攻撃性を備えた兵器や道具に対しては最終段階の被弾した箇所を丸々と抉り取るデコンポーザーへと変化する
もう一人の主人公である「常守朱（cv.花澤香菜）」が一話で新任の監視官として就任し初日に起きた事件で現場に呼び出されるところから始まる。
アニメ本編で直接語られることはないが100年後の世界だけあって技術の進歩は凄まじいARやホログラム技術の発展により部屋の内装をいつでも好きなように変化させることができるようになっていたり（気分によって和室にでも洋室にでも、場合によってはヴィクトリア時代のようにもできる）服装をホログラムで上書きすることで私服でもスーツでもドレスでも好きに変化させることができたりとバック・トゥ・ザ・フューチャーで見た未来よりもより未来的だ。
さらにはAIの普及によってそれぞれがパーソナルAIを持ちAIに指示を出すだけで朝食を準備してもらったり部屋のホロを変化、はてには贈答品の準備や気に入った服装の登録までしてくれる。
価値観の変化も大きい、マッチングシステムでは男女の区別が無く自分にあった相手が選ばれる。そう男女関係なくだ。
つまり世界観的に同性愛にも寛容どころか推奨さえされているのだ。
なお作中にはレズカップルが登場する。なんて素晴らしき新世界。
こういった技術周りや世界観の掘り下げはアニメよりも小説版及び外伝小説での掘り下げが大きい。アニメの一期を見てみて気に入ったならばそちらも手にしてみてもらいたい。
作中では度々小説の話をするキャラも居る。キャラクターへの理解をするためにそういった作品も読んでもらえるとより嬉しい。例えば「ブレードランナー」の原作の「アンドロイドは電気羊の夢を見るか？」やウィリアム・ギブスンだ。
はっきりと言ってディストピア作品でもあるがディストピアとしてはかなり優れていて伊藤計劃の「harmony」のようなディストピアをディストピアと自覚させない完全性がある。
是非ともこの記事を読んで作品を楽しんで貰えると嬉しい。ついでにコメントを貰えるともっと嬉しい。
追記
私自身はNetflixとAmazonPrime会員なのでPrimeVideoを利用しているのですがPSYCHO-PASSはNetflixとPrimeVideo両者で一期二期共に配信している。
リンクを記しておくので会員の方は利用するといい。
